大柴広己全所有ギター解説
FENDER TELECASTER 66年製
今から10年ほど前、東京の某楽器店のTさんより突然連絡が入った。
「大柴さんいいギター入ったんで買いませんか?エレキなんですけど。」
当時、アコギの弾き語りばかりやっていた自分にとって、エレキギターなんてものは範疇外。興味の対象にもならないものだったのだが、アコギフロア担当だったその人はおれの趣味もしっかりわかっていたはず。その上で連絡してきたんだなと思い、半信半疑で楽器店に向かった。
店に向かい、ドアが開いた瞬間、一本のギターに釘付けになった。
楽器を買う時、たまに光っている(ように見える)ギターがある。このギターは楽器屋の奥の方で、他のギターとはまるで違うオーラを放ち、煌々と光っていた(ように見えた)のである。
それが、まさにこのフェンダー・テレキャスター。
まず、色が今まで見たことがないような何とも形容しがたいクリームバター色で 、ビグスビーアームが後付けされ、ピックアップも古いギブソンのハムバッカーに変えられていた。何よりも目を引いたのはそのボディに謎の言語や年号がたくさん彫られていて、明らかにまともではない異彩を放っていた。
まさに一目惚れ。
そんなこんなでしげしげとギターを眺めていると奥から電話をくれたTさんがひょろっと出てきた。
「あー見つけちゃいましたか。やっぱり分かる人には分かるんですねー。連絡したギター。これですよ。」
聞けば、このギターはとある海外ミュージシャンがツアーの最中に何かの理由で手放した流れのテレキャスターだそうで、音はいいが、どこから出てきたものなのか出どころがハッキリしていなかったこともあり、店頭販売ではなく、懇意のプレイヤーに買って欲しいと連絡した一人目がおれだそう。
とりあえず、近くにあったアンプのボリュームをグイッと上げ、アンプに繋いで音を鳴らした瞬間衝撃が走る。
それは例えるならば、乾いた風を切るような、水面が揺れるような、ガラスを叩き割ったような、かと思えば母親のゆりかごのような、暖かな暖炉のような。とにかく、右手だけでありとあらゆる景色が描き出せる。そんな音がしたのだ。
これは、もはや自分のものだと思ったものの、66年のテレキャスターの相場はだいたい3桁。売れていない、なおかついままさにレコード会社をクビになったばかりの男に到底買える値段ではない。渋々Tさんに値段を聞いた。
「いろいろ手が入ってて、ボロボロなんで大柴さん買ってくれるなら20万でいいですよ」と。
即答で「買います!」
と言い、なんとか1週間待ってもらい、その間、各方面から現金をかき集め、わけありのテレキャスターがおれのものになった。
それ以来というもの10年にわたり、おれの録音やらライブやら、現場でフルに活躍している。
バンドで音を鳴らすことの喜びを教えてくれたのもこのギター。
余談だが、その後、手に入れて以来一度もギターの掃除をしていないことに気づき、重曹を染み込ませた布で拭いていたところ。それまでクリーム色だと思っていた色が剥がれ、下地から青い色が出てきたのである(左半分の色お分かりいただけるだろうか)
要は自分がクリーム色だと思っていたのは長年で汚れて付着したタバコのヤニで、もともとのコイツの色はソニックブルーと呼ばれる激レアカラー。現代の市場ではン100万で取引されるする超レアギターだったというオチがついたわけなのだが、このギターよりいい音がする楽器がないので、高級だとか関係なく今もガンガン使っている。
やっぱ楽器は使ってナンボよね。
の、疑問が解決。w
改めて詳細知って感動。
バンドで爆音のこのギター
聞きたい!拝みたい!絶対に!
( ´Д` )♡